非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のすべての段階において、全死亡率の有意な増加と関連しており、そのリスクは病気の進行に伴って増加することが、スウェーデンの研究者らによって報告されました。
NAFLDは欧米で最も一般的な慢性肝疾患の原因であり、成人の約25%が罹患しているといわれています。患者の約 3 分の 1 は、線維化を伴う/伴わない脂肪肝炎(NASH)であり、それらは肝硬変、肝不全、肝関連死へと進展する可能性があります。
肝臓の線維化はNAFLD患者の生存を予測する唯一の重要な組織学的因子であると考えられていますが、すべての組織学的範囲におけるNAFLD患者の全死亡リスクと原因特異的死亡リスクについては明らかではありませんでした。
この研究では、1966年から2017年までにスウェーデンの28の病理部門で組織学的にNAFLDと診断された成人10,568人を、同時代の人口比較対象者49,925人と年齢、性別、郡別でマッチングし、Cox回帰を用いて解析されました。
NAFLD患者のうち、67%が単純性脂肪肝、12%が線維症を伴わないNASH、16%が線維化を伴うNASH、6%が肝硬変でした。生検時の平均年齢は52歳で、44.8%が女性でした。NAFLD患者では、心血管疾患、糖尿病、高血圧、脂質異常症を有している割合が、比較集団よりも多くみられました。
NAFLD患者の死亡は4,338例(28.6/1,000人年)、比較集団では13,911例(16.9/1,000人年)でした。多変量解析では、NAFLD患者で全死亡リスクが1.93倍高いという結果でした(95%信頼区間、1.86~2.00)。
NAFLDと死亡率の増加との間の有意な関連は、女性と男性、心血管疾患、糖尿病、脂質異常症、高血圧、メタボリックシンドロームの有無にかかわらず認められました。
死亡リスクはNAFLDの重症度が高いほど有意に増加しました。対照群と比較して、NAFLDの4つのサブタイプ(単純性脂肪肝、線維化を伴わないNASH、線維化を伴うNASH、肝硬変)すべてで全死亡率が有意に上昇していました。これは男女ともに、心血管疾患、糖尿病、高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドロームの有無にかかわらず同様でした。
NAFLD患者の死亡率は、肝外がん(9.3 対 4.8/1,000人年)が有意に高く、次いで心血管疾患(8.3 対 6.9/1,000人年)、肝硬変(2.8 対 0.2/1,000人)、肝細胞がん(1.3 対 0.1/1,000人)の順でした。
今回の研究で、すべての組織学的範囲のNAFLD患者において、肝関連死やそれ以外の死亡などを含む有害な転帰と関連していることが示されました。健診などで脂肪肝を指摘された人は、そうでない人に比べて、死亡リスクが高いという事実はきわめて重要であり、すべての臨床医、患者、政策決定者が知っておくべきことだと思います。