C型肝炎について

C型肝炎の原因ウイルスHCVは血液を介して感染します。C型肝炎の感染経路は、かつては輸血や血液製剤の使用、汚染された医療器具の使用など、医原性の要因が多かったのですが、現在は感染対策が徹底されており、医療行為による感染は大変少なくなっています。その他の感染経路としては、覚醒剤、入れ墨、ピアス、母子感染、性行為などがあります。

C型肝炎に感染すると、およそ1~3ヶ月後に急性肝炎を発症し、そのうちの約7割が慢性肝炎になります。そして約20年の歳月を経て肝硬変となり、そのうちの70%に肝がんを合併します。

C型肝炎の経過

C型肝炎を診断するには、まずC型肝炎ウイルス抗体(HCV抗体)を測定します。陽性であった場合、C型肝炎ウイルス遺伝子検査(HCV RNA定量検査)を行います。これで陽性であった場合に、C型慢性肝炎と診断します。肝臓の線維化が進むほど肝がんができやすいので注意が必要ですが、線維化の進行していない慢性肝炎からも肝がんが発生することがあるため、早期発見のために定期的な検査が必要です。

C 型肝炎を治療する目的は、肝がんによる死亡および肝硬変が進行して生じる肝不全などの合併症による死亡を減らすことにあります。そのために抗ウイルス治療を行い、ウイルスの排除をめざします。以前は副作用の強いインターフェロンという注射薬が使用されていましたが、現在、抗ウイルス薬の主流は経口抗ウイルス薬による内服治療となっており、副作用は大変少なく、9割以上の方でウイルスが体から排除されるようになっています。

注意が必要なのは、抗ウイルス治療によって HCV が排除された後でも、肝がんが発生することがあるため、長期にわたって定期検査を行う必要があることです。とくに高齢の方や線維化が進行した患者さんは高リスク群となりますので、厳重なフォローアップが必要です。