NAFLD から MAFLDへ

脂肪肝の患者の多くは肥満や耐糖能異常などの代謝異常を合併しており、これらの代謝異常は肝線維化の進展、動脈硬化性心血管疾患や患者予後に深く関わることが明らかになってきています。

脂肪肝は、飲酒量が少ないかあるいは飲酒をしない非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)と飲酒量の多いアルコール性脂肪肝に分けられてきました。非アルコール性とは、飲酒量がエタノール換算で男性30g/日未満、女性20g/日未満のことをいい、中等量の飲酒(エタノール換算で男性30~59g/日、女性20~59g/日)はNAFLDからもアルコール性肝障害(エタノール換算60g/日以上)からも除外されるため、病気としての意義が十分に検討されていませんでした。最近の研究では、中等量の飲酒は肝線維化のリスク因子であることがわかってきました。

NAFLDの診断は、ウイルス性肝疾患や自己免疫性肝疾患などの慢性肝疾患を除外して行うため、これらの慢性肝疾患とNAFLDの病名を併記することができませんでした。しかし、これらの慢性肝疾患における脂肪肝の合併が、病態に影響することもわかってきており、脂肪肝の評価を含めて管理していくことの重要性が認識されるようになってきました。

脂肪肝患者診療における代謝異常の重要性が認識されるようになったことを受けて、代謝異常を合併する脂肪肝のことを metabolic dysfunction-associated fatty liver disease (MAFLD) と命名し、その診断基準が提唱されています。

MAFLDの診断基準

これまで併記できなかったウイルス性肝疾患、自己免疫性肝疾患、アルコール性肝障害などとも併記することが可能で、他の肝疾患の原因治療や節酒・禁酒指導とともに、代謝異常に対するアプローチの重要性が明確になりました。

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