NASHは肝細胞癌に対する免疫療法の抗腫瘍効果を制限する

肝細胞癌(HCC)には、ウイルス性のものと非ウイルス性のものとがあります。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は非ウイルス性HCCの原因として重要です。免疫療法はHCCの治療に承認されていますが、治療への最適な反応を得るためのバイオマーカーによる層別化は確立されていません。

著者らは、NASH誘発HCCモデルにおいて、PD1をターゲットにした免疫療法が腫瘍内の活性化CD8+PD1+ T細胞を増やすも、腫瘍が縮小しないことを発見しました。このことは、腫瘍の免疫監視機構が損なわれていることを示しています。予防的に抗PD1薬を投与した場合、NASH-HCCの発生率および腫瘍結節の数とサイズが増加し、これは肝臓のCD8+PD1+CXCR6+, TOX+, TNF+ T細胞の増加と相関していました。抗PD1薬によって引き起こされるHCCの増加は、CD8+ T細胞の欠乏やTNFの中和によって阻止されました。このことは、CD8+ T細胞が、免疫監視機構を活性化または実行するのではなく、NASH-HCCの誘導を促進することを示唆しています。同様の現象は、NAFLDまたはNASHの人の肝臓から採取されたCD8+PD1+ T細胞でも見いだされました。

著者らは、進行したHCCに対する抗PD1薬あるいは抗PDL1薬の効果について調べた3つの第III相臨床試験についてメタアナリシスを行い、免疫療法が非ウイルス性HCCの患者の生存を改善しなかったことを明らかにしました。別の2つのコホートでは、抗PD1または抗PDL1療法を受けたNASH-HCCの患者は、他の病因の患者と比較して全生存期間が短いことが示されました。

まとめると、非ウイルス性HCC、特にNASH–HCCでは、NASHに関連した異常なT細胞の活性化が免疫監視機構の障害につながる組織損傷を引き起こすことによって、免疫療法に対する反応性が低い可能性があることが示されました。進行したHCCに対する免疫療法を考慮するときは、背景肝疾患に注意する必要がありそうです。

Pfister, D., Núñez, N.G., Pinyol, R. et al. NASH limits anti-tumour surveillance in immunotherapy-treated HCC. Nature 592, 450–456 (2021). https://doi.org/10.1038/s41586-021-03362-0

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